転職から2年、スタートアップ支援を通し得た経験とは

2020-04-20
転職から2年、スタートアップ支援を通し得た経験とは

新卒~サイバーエージェントを経て2018年5月にfor Startupsにジョインした町野友梨。子どもの頃から周囲の期待に全力で応えてきた町野は、前職でも活躍。だが「誰かの理想のために頑張るのではなく、自分の信じた道を進もう」と決意してfor Startupsへ。それから2年。気が付けば、やはり全力で活動しているが、モチベーションの源泉は、学生時代から抱いていた社会に対する課題感にある。信じることに真っ直ぐに、結果として成果も上げ、猛烈な忙しさを楽しむ毎日だ。

課題感に突き動かされ、多方向の活動に試行錯誤で取り組む毎日

「落ちているボールを拾い続けたら、いつの間にかいろいろなことをやっていました」と、町野は軽やかに笑う。本業であるタレントエージェンシー(TA)業務を高いレベルで遂行しつつ、社内横断型の様々なプロジェクトに参画する。

活動は三方向に向いている。社内、企業、投資家だ。社内向けには、for Startupsが掲げる3つのValue、「Startups First」、「Be a Talent」、「The Team」を浸透させる数々の取り組みだ。社内イベントのたびにValueと紐づけた企画を取り入れ、コミュニケーション活性化のために飲み会や月例全体ミーティングをとりまとめ、そのほかに様々なシーンでValueと紐づけた活動を展開する。

企業向けには、有望スタートアップをさらに成長させるために、企業に密着した様々な取り組みを展開するというもの。投資家向けには、ベンチャーキャピタリストと長期的なリレーションの構築を目指し、コミュニケーションを図る。いずれも、正解や決まった形がある活動ではない。課題に対して、どうすれば達成できるか、試行錯誤を繰り返しながらの活動だ。

なぜやるか。「スタートアップは、資金調達をしないと人材を採用できません。かといって、資金調達した企業に、突然『支援します』では、あまりにもビジネスライクで失礼だと思います。シード、アーリーフェーズの有望企業を見つけ出し、良き関係を構築し、採用段階になったらすぐに支援できるようにしたいのです。

つまり投資家、スタートアップ企業、for Startupsが最強タッグを組むには、より早い段階から関係を構築する必要がある。そして成長の道筋が見えた会社に対しては、より急角度のスケール拡大を実現すべく、様々な取り組みが必要になる。投資家向け、企業向けの各活動は、このように一本の線でつながるものなのだ。

自分に負荷をかけ、インプットとアウトプットに励む

企業向けには、例えば一例を挙げると、原点に帰って人事業務の理解に取り組んでいる。「『CxOがほしい』という要望に、『では支援します』と応えるだけではなく、スタートアップ企業の人事は何が大変なのか、採用はどうなっているのか、本当に受けたい支援は何なのかを知りたいです。例えば採用なら、エージェント経由だけでなく、リファラル採用もしたいはずです。また、人を採るだけではなく、組織強化にも取り組みたいはずです」。町野は言う。

実際にトライアルで、とある企業の採用代行もやってみたという。気づきはたくさんあったが、マンパワーを要し、事業として展開する難しさや、人事の方々の大変さも知ることができた。これだけマルチタスクに活動するのは、これらが会社にとって課題であると感じるとともに、自分自身にも必要だと思うからだ。落ちているボールに気づかない人もいるが、町野は気づく。人に見えないボールが見え、見えたからには拾わずにいられない。すると活動の過程で、自分に不足しているものに気づき、さらなる成長につながる。

例えばインプット。for Startupsは、数々の起業家や投資家が訪れ、連日、勉強会を実施している。だが、投資家向け、企業向けの活動をするなかで、町野は、勉強会で話を聞くだけでは足りないと感じるようになった。本を読み、Webのニュースメディアを熟読し、SNSの言葉を拾い、与えられた情報を多角的に眺め、咀嚼するようになった。「それをやらないと、対等に話ができません」と町野。起業家や企業と話せば話すほど、「自分はもっとこういう情報を発信したい、発信しなくてはいけない」と、もどかしい思いに駆られるからだ。自ら課した負荷で、町野はフル回転だ。

様々な経験がTA業務にも効果。存在そのものが説得力を増し、支援の確度が向上

だが、いっぱいいっぱいのはずの町野は、なぜか楽しそう。そして本業のTA業務も絶好調だ。入社以来、着実に成果を上げ、シニアヒューマンキャピタリストになり、グループリーダーになり、2020年4月からは、社内で3人目のゼネラルマネージャーを任されるようになった。メンバーの育成とチームの数字を担いながら、自分の数字も外さない。

「最近、候補者の方から『楽しそうに働いていますね』と、言われることが増えました。実際に候補者へスタートアップで働く面白さを伝える際に、自分の経験もセットで伝えることができるようになったことで説得力が増したと感じています。」と町野。

for Startups で様々な経験をすることで、町野の言葉に深みや重みが生まれ、そして町野の楽しそうな姿が、まるでスタートアップの楽しさを体現しているように見え、説得力を増すのだろう。

「for Startupsの良さは、人材業界出身者ばかりでなく、多様な事業会社で多様な経験を積んだ人の集まりであること。ビジョンに惹かれて集まったメンバーは、多様なバックグラウンドを持っています。しかし、TA業務だけに従事していると視野が狭くなってしまう傾向があります。TA業務以外にもコミットすることで、企業や候補者へ伝えられる幅の広さが変わってきます。このバランスを取るのが難しいのですが、Valueの一つである「Be a Talent」を体現するためには欠かせないことだと思っています。まだまだですが、これからも挑戦していきたいです。

お給料をもらって学園祭実行委員をやっているような感覚。忙しく、楽しい毎日

驚くほど多数のプロジェクトを抱えつつ、日々、全力疾走の町野だが、最初からこうだったわけではない。「最初の1年間は、自分はなぜ入社したのか、ここで何ができるかと悩みました」。だが幸い、町野には良き先輩がいた。悩みを話し、時には強引に同席・同行し、自主的に日報を書いては毎日、報告した。遠慮なく接点をつくりにいく町野を、先輩は懐深く受入れ、鮮やかなお手本を見せてくれた。そんな背中を見て町野は育ち、「いろいろ取り組むうちに、もう悩まなくなりました。悩んでいる暇もない。何も生まない悩みは持たなくなりました」という心境に。

悩まなくなるのと比例し、for Startupsをもっと良くしたいという欲も強くなった。そして勝手にボールを拾い続けて今に至る。「でも、やっていることは全部つながっているのです。パンクするまで続けようと思います」と、町野は鮮やかに言い切る。仕事は間違いなく楽しい。「大学時代、学園祭の実行委員をやっていました。猛烈に忙しくて、猛烈に楽しくて。今は、お金をもらいながら実行委員をやっている感覚ですね。お給料をもらいながら挑戦でき、素晴らしい経験も得ています」。

そして自分自身が、for Startupsというスタートアップに身を置いたから思うこと。何か学ばせてくれると思ってスタートアップに転職しないでほしいです。学べる環境を自ら取りに行き、作りに行く必要があります。何か学べると思ってジョインするから、入社後に現実とのギャップに不安や葛藤を抱くことになるのだと思います。

変わり続ける環境の中で、モチベーションを維持し続けるためには、ビジョン共感が最も大事だと学びました。私の場合、『for Startupsが成長することで、成長産業が育ち、挑戦する人が増えて、世の中が豊かになる、その世界観が好きで、自分もその世界をつくる一人になりたい』と1年間悩んだ後に、心の底からそう思えるようになったことで、自分自身の行動に自信や、意思を持つようになりました。

傍から見ると大変な行動量だが、本人は「あまり疲れていません。ほとんど風邪も引きません」と元気そのもの。チームのメンバーには「狙い癖をつけよう」と声をかける。「狙わずして何かが降ってきたり、何かを成し遂げられたりすることはありません」。それは自分に向けた言葉でもある。

そして先日ついに、半期に1名最も活躍した人に贈られる半期MVT(Most Valuable Talent)を町野は受賞した。意志強く、戦闘能力高く、町野は突き進んで行く。

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