社会人1年目のリスタート。後悔は微塵もない。もがいて苦しんだ先に得た自信

2022-11-07
社会人1年目のリスタート。後悔は微塵もない。もがいて苦しんだ先に得た自信

社会人1年目、前職在籍8カ月の第二新卒としてフォースタートアップス(以下フォースタ)に入社した馬渕聖大(Seita Mabuchi)。子どもの頃から大学まで真剣にサッカーに打ち込んできたこともあり、元来、馬渕は何かを途中で投げ出すような人間ではない。迷った末にリスタートを切り、人のため、社会のためになる仕事を、そして何者かになることを志向して歩んできた。決して平たんではなかったその道のりを振り返る。

新卒の会社を半年経つ頃には退職決意。第二新卒でフォースタへ

馬渕にとって、サッカーは人生そのものだった。大学2年生時には、ドイツへプロテストを受けに行ったほど。だが、思うような結果にはならず。子どもの頃から思い描いていた道が閉ざされ、悶々とした日々を過ごした。前に進むきっかけとなったのがインターンだった。

「スポーツ系のスタートアップでインターンをしました。Twitterで知った会社で、代表にダイレクトメッセージを送って、働けることになりました。約1年間、スポーツ業界特化のHR支援やコミュニティー運営などさまざまな事業に携わることができました」。スタートアップというものを知った原体験だ。

大学卒業後は「人の人生の節目に携わりたい」という真っ直ぐな気持ちで、HR系の会社に就職した。同期でトップの案件獲得を収めるなど活躍したが、次第に、以前インターン生として経験した“スタートアップでのスピード感とワンチーム感”に思いを馳せるようになった。「同じように勢いのあるチームと言えども、学生時代にインターンをしていたスタートアップとはスピード感や挑戦できる幅が異なることを実感しました。今から思うと会社の成長フェーズの違いだったのだと思います。当時も迷いましたが、半年経つ頃にはリスタートしようと思っていました」。

スタートアップで、人や企業を本質的に支援できる会社で、中長期的にはスポーツやエンタメ領域にも携わりたい。この軸で調べたときに出会ったのが、成長産業支援を行うフォースタだった。

入社後は苦労の連続。くすぶること1年。マネージャーとの対話が飛躍のきっかけに

2020年12月、社会人1年目で前職在籍8カ月という第二新卒の状態で、フォースタにジョインした。ここから長い長いトンネルに入ってしまう。馬渕は入社当時を振り返る。「最初はかなり大変でした。周りのレベルが高くて、追いつけなかった。まずスタートアップのマーケットの話がわからない。みんなの共通言語がわからなくて、毎回、調べないとついていけない。同じタイミングで入ったキャリア採用のメンバーもレベルが高くて、劣等感を覚えました」。

少しずつ、光が見えてきたのは企業担当を持つようになってからだ。タレントエージェンシー事業において、スタートアップ企業と候補者を後押しすることは両輪の活動だ。そして候補者を後押しする上でも、起業家の想いや事業戦略を深く理解することは欠かせないが、容易ではない。先輩と一緒にいくつか担当企業を持つなかで着実に理解し、次第に候補者との向き合い方の質も上がっていった。少しずつ成果を出せるようになったが、トンネルから出ると、すぐにまた次のトンネルが始まる。抜けるにはもう少し時間がかかった。

入社から1年が過ぎた2021年12月に転機となる出来事があった。上長と本音をさらけ出す1on1。「マネージャーに、チームを離れたいと伝えたんです。続ける自信がなくて。そうしたら『一度、話そう』と言われ、次の土曜日、お昼から夜まで7時間ほど話しました。僕としては、成長したい気持ちはあるのに思うように活躍できないことが辛く、“自分の身の回りの環境をどう変えるか”など外部に目が向くようになっている状況でした。たくさん話をして、マネージャーの『自分が変わる側になればいいんじゃないか』という一言にハッとしました。無意識に外部要因を探してしまっていたのだと」。

一見、突き放すような言葉だが、半日以上じっくり話を聞き、寄り添ってくれた末に出た言葉は、馬渕の心に刺さった。ようやくトンネルの出口が見えてきた。

変わると決意し、社内を巻き込んで合宿を企画・完遂。「The Team」賞も獲得

「変わる側になる」。そう決意した馬渕は、早速、社内で合宿を発案・企画し、自分が責任者となってやり遂げた。「シニアヒューマンキャピタリストには合宿があり、みんなで学び、高め合う場があるのですが、メンバーにはありません。自分も学びたいのに機会がないことが悔しくて、ならば自分でやろうと思いました」。あの日、渋谷で話をしたマネージャーは「いいんじゃない」と馬渕の背中を押した。

人選も内容も自分で考え、完遂。「得たものはすごく大きかったです。自分が何をすべきか、言語化できました。何より社内を巻き込んで実行できたことが自信になりました」。この功績で、フォースタのバリュー表彰において「The Team」賞も獲得。「本当に嬉しかったです」。以後、馬渕の快進撃が始まり、2022年10月にはシニアヒューマンキャピタリストに昇格した。1年に及ぶトンネルを抜けて10カ月後のことだ。

スタートアップのパートナーとしてのふるまいも、堂々としてきた。馬渕は言う。「起業家にはどうしても社内では壁打ちできないこと、見えていない課題に遭遇することがあります。僕らは、一歩引いた立ち位置だからこそ、それが見える。よく言われるのは『自分で起業したことないから、わからないでしょ』。でも、それは違います。たくさんのスタートアップと、その会社の社員と同じスタンスに立って課題を解決しています。その経験があるから、起業家の方が考えている世界観を共創することができるのです。組織の作り方も、70人から100人、150人と増えるごとに壁があります。全ての起業家が、その壁を経験しているわけではありません。どうカルチャーを醸成すべきか。どのような人材を入れると200人、300人とさらにグロースできるか。そのような問いに対して、我々は、数々の会社を見てきた経験値から解を導き出せるのです」。

もちろん、一人でやっているのではない、チームフォースタでスタートアップと向き合う。先輩たちのふるまいから学びながら、馬渕もチームの一員として確かな存在感を発揮している。

辛くても逃げなかった。一歩踏み出せば、夢を口にしていれば、チャンスは巡ってくる

一歩踏み出せばチャンスも巡ってくる。「The Team」賞を獲り、自信を得た馬渕には次々と機会が回ってくる。その機会を、馬渕は喜んで受ける。スタートアップは上場して終わりではない。その一つが、スタートアップの持続的な成長を支援するためのプロジェクト。日本を代表する企業となり、世界で戦うために、新たな支援の形を模索している。

また、スポーツに携わりたいという思いは今も変わらない。現在、ウェルネス系スタートアップの担当となり、自身の夢とも重ねながら支援しているところだ。こんな出会いもあった。「ご支援に至らなかった候補者の方がいました。でも、その方は別のところで活躍していて、あるとき、スポーツ界で著名な方を紹介してくれました。私が『いつかまたスポーツに関わることをしたい』と話していたのを、覚えてくれていたのです。口に出しているとチャンスが来るんだな、と思いました。同時に、ヒューマンキャピタリストの仕事は、候補者の方を企業に紹介するだけではないと改めて実感した瞬間でした。人と人のご縁をつなぎ、それが巡ってスタートアップ支援や、様々な出会いを生み出す。それもヒューマンキャピタリストの面白さ。社内で『この仕事の面白さがわかるには5年、10年とかかる』と言われていますが、まさにこういうことなのだろうと思います」。

長いトンネル。モチベーションの波。沈みかけたときもあったが、逃げなかったから今がある。「最初の会社を8カ月で辞めて、ここで逃げたら本当に負けだという思いで食らいついてきました。そして、いよいよ沈みかけたときには、周りの人が寄り添ってくれました。その2つが、逃げなかった理由です。これからも目の前のことに向き合い、挑戦し続け、ヒューマンキャピタリストとしてさらに成長していきたいと思います」。

何者でもなかった第二新卒の若者が、何者かになろうとしている。もがきながら、これからも前に進んでいく決意だ。

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