社内カンパニーを経て、2016年9月に創業したフォースタートアップス株式会社。これまでスタートアップ企業に累計1,200人を超えるCxO・経営幹部層をご支援することで、日本の再成長を担う成長産業支援を推進してきました。入社後、キーマンとなった彼らが活躍し、爆発的な成長を成し遂げたチームは少なくありません。支援した数々のチームが上場企業やユニコーン企業になっています。しかし、フォースタートアップスの目指すところはその先にあります。そこからさらに圧倒的に成長し、トヨタやソニーのような日本を代表する企業をどれだけつくりだすことができるか。
今回、紹介するのはまさに「時価総額1兆円企業」という大きな目標を掲げ、ともに歩んでいるラクスル株式会社です。印刷ECサービス『ラクスル』が有名ですが、実は2009年の創業以来、「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンのもと、伝統的な産業をITの力で変革してきました。すでに東証プライム市場に上場している同社は2023年8月、新代表取締役社長 グループCEOに永見 世央氏が就任。新たに「End-to-endで中小企業の経営課題を解決するテクノロジープラットフォーム」という方向性を掲げ、より多層的なサービスの展開と加速度的な成長を目指しています。この挑戦に、フォースタートアップスはパートナーとして伴走しています。ラクスル代表取締役社長 グループCEO 永見 世央氏と上級執行役員 グループCPO 水島 壮太氏、フォースタートアップス取締役副社長 恒田 有希子、シニアヒューマンキャピタリスト 山下 太地の4人がこれまでとこれからについて語りました。
ラクスル株式会社
代表取締役社長 グループCEO 永見 世央 氏
上級執行役員 グループCPO 水島 壮太 氏
フォースタートアップス株式会社
取締役副社長 恒田 有希子
タレントエージェンシー本部 シニアヒューマンキャピタリスト 山下 太地
本当によかった!フォースタートアップスの採用コンサルティングサービス
▲ラクスル株式会社 代表取締役社長 グループCEO 永見 世央 氏
――印刷ECサービスで知られていますが、実はそれだけではない、ラクスル様の事業概要や今後の方向性などを教えてください。
永見:ラクスルは2009年に現・取締役会長の松本 恭攝が創業しました。「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」をビジョンに、最初に手をつけたのが印刷業界の変革。印刷のeコマースサービス『ラクスル』です。これは、お客様から受けた注文を全国の印刷会社さまの設備の空き時間を活用して印刷してもらい、お客様に届けるというプラットフォームのサービス。今も拡大中です。その後も同じようにデジタルが進んでいない伝統的な産業にITを持ち込み、産業構造を変えることに挑戦しており、物流業界向けの『ハコベル』、広告業界向けの『ノバセル』などのプラットフォームのサービスを提供し、いずれも伸びています。
このような展開を進めているなか、2023年8月に私がCEOになり、少し方向性を変えることになりました。というのも『ラクスル』が業界ナンバーワン、日本全国の中小企業のお客様270万ユーザーを抱える大きなサービスに成長したことで、中小企業のお客様のいろいろな課題に対してもっと多層的にサービス提供できないかと考えるようになったからです。そこで直近の2024年9月の決算発表では、新たに「End-to-endで中小企業の経営課題を解決するテクノロジープラットフォーム」という方向性を示し、今後は金融の事業を始めることなどを公表したところです。
会社自体は2018年に上場していて、フォースタートアップスさんとは上場後にさらに拡大スピードが上がるなかで、ビジネス側もエンジニア側も人材の採用が喫緊の課題になってきたことで関係が深まっていった、という流れですね。特に私がCEOになってから、両社での取り組みが加速しています。それまでもカジュアルに相談するようなことはあったのですが、改めて取り組みとして始めたのがそのタイミングです。
――フォースタートアップスの採用コンサルティングサービスですね。そのタイミングで依頼しようと決めた理由は何でしょうか。
永見:一つは、私が代表になるにあたってマネジメントチームをいい意味でアップデートしたかったから。もう一つは、これからいろいろなプロダクトを開発・提供する方向に進むので、特にエンジニアなどプロダクトサイドで人材が必要になるからです。改めて恒田さんに相談して、そのときに採用活動を一気に強化できるという「採用コンサルティングサービス」というものがあると教えてもらい、「ぜひ、ご一緒したいです!」と前のめりにお願いしました…。そんな経緯でした。
――当時の具体的な組織課題とはどのようなものでしたか。
水島:基本的に事業スピードが大変な勢いで上がっていましたし、M&Aも含めて新規事業が増えていくなかで、マネージャーレイヤーが圧倒的に不足していました。海外に開発拠点もあるので、一応開発自体はできていたのですが、ジュニアクラスのエンジニアを中心に開発をしていると、プロダクトのクオリティーがなかなか上がってこなかったり、一部のシニアクラスのエンジニアに過大に負担がかかってしまったりといった状況でした。さらにシニアには採用の負荷もかかってくるので、完全に負のサイクルに陥っていました。早急にミドルからシニアのエンジニア層を厚くして、プロダクトのリーダーシップを強化する必要がありました。
経験的に1人のCTOがすごく頑張ってマネジメントしていれば、40人~50人くらいまでの組織はまとまります。が、やはり100人を超えてくる・海外拠点が出てくるといったあたりからは、きちんとスタンドコントロールを持った組織が必要です。その頃はもう穴だらけ、兼任だらけで組織強度も弱い。その状態を解消することが大きな課題でした。
――そのレイヤーは、自力ではなかなか採用が進まなかったのですか。
水島:はい。当然、リファラルも含めて全方位で採用活動をするのですが、当時は内定承諾率がとても低いという課題がありました。なぜかというと、ぜひ参画いただきたいと思うような方たちは最終フェーズにもなると5、6社からオファーが出ているからで、全然決まりません。何かムーブメントをつくらないと駄目だと思っていたところに、フォースタートアップスさんとの採用強化プロジェクト、採用コンサルティングサービスが始まりました。
永見:フォースタートアップスさんはビジネスやコーポレートが強いイメージがあるので、最初はテクノロジー採用ができるのか、正直なところわかりませんでした。だけど相談してみたら実績もあり、候補者さんとの接点も増えてきているようだったのでお任せしてみたいと思いました。チャレンジではありましたが、結論から言うと最高によかったです。
水島:よかったですよね。
永見:我々2人だけではなくCTOも現場の採用チームも、このフォースタートアップスさんの採用コンサルティングは本当にやってよかったと言っています。
フォースタートアップスは社運を賭けた。そこまでする魅力にあふれるラクスル
▲フォースタートアップス株式会社 取締役副社長 恒田 有希子
――フォースタートアップスはどのような覚悟をもってこのプロジェクトに臨んだのでしょうか。
恒田:相談を受けたときは怖かったんですよ。永見さんのことが。
永見:そんなことはないでしょう(笑)
恒田:ラクスルさんは本当に強い企業で、経営陣もキーマンたちも本当に強いから、コミットメントという言葉のプレッシャーが重すぎて。「本気は出すけど無理だったときは本当に、本当に怒らないでくださいね」と言いたかったです(笑)。それぐらい、永見さんの日本の成長産業マーケットでの影響力は強いので、永見さんに嫌われたらイヤだな、嫌われるくらいならあまりコミットしないで「頑張ります」と言っているくらいがいいんじゃないかと思ったのです。
ラクスルさんは創業者の松本さんも意志を持って突き進むタイプだと思いますし、その方が次の世代に託し、戦略を大きく変えるタイミングでバトンを受けたのが永見さん。2人とも意志が強いから、その期待を受けきれるだろうかと悩みました。1年少し前ですが、当時の私たちは人数が今の半分ほどの規模。この「やる」という決断は社運を賭けると言ってもいいほど重いものでした。
水島:そのとき、「私たちもコミットしますが、永見さんと水島さんのコミットがいちばん大事です」と返ってきたのが印象的でした。
――具体的にどのようなプロジェクトだったのですか。
山下:プロダクトの採用を全方位でという計画で、どこからご支援するか、そのすり合わせからスタートしました。水島さんから率直な課題感やラクスルさんのカルチャーなどをいろいろとお伺いしていくと、ビジネスサイドは人材が揃っていたので、プロダクトをより強固にするという観点だとテクノロジーサイドの幹部人材、印刷事業部の幹部人材のダイレクタークラスといったニーズが見えてきました。まず、そこに注力してご支援を始めました。
私も、すごく緊張感を持って水島さんと話をさせてもらいました。最初の3カ月間はかなり手探りでしたね。今、どこの事業で何が課題で、どういったテクノロジー投資をしようとしているのか。どんなプロダクトをつくろうとしているのか。ラクスルさんは行動指針の一つに「Reality(高解像度)」と掲げていますが、まさに我々にも解像度が求められていました。水島さんにお時間をいただいてお話を伺ったり、ほかの方にも事業側のお話を伺ったりしながら徐々に目線が合っていって、プロジェクト後半では、プロダクトサイドだとワークサンプルテストの通過率が7~8割は行くようになりました。
水島:それは高いですね。
山下:ですよね。私自身の目線もかなり上がって、「この人、ラクスルさんだな」と会った瞬間にバチっと来ることが増えてきました。そのような方々に対して、どのようにラクスルという会社の魅力を伝えるか。やはり印刷の会社と思われていることが多いので、レガシー産業をテクノロジーで仕組み化して変えていくという戦略をどう伝えれば響くのか。私自身の解像度を上げながら、お会いする方のほとんどを口説ける状態になったのが3カ月を過ぎたあたりからでした。
水島:そうですね。最初はあまり温まっていなかったところから徐々に。
山下:はい。テクノロジーサイドの幹部陣に2回、弊社にお越しいただいてヒューマンキャピタリストとの交流会もしていただきました。現場のマネジメント陣が抱いている課題感、ラクスルさんの魅力などをお伺いして、参加したヒューマンキャピタリストたちでどうやって候補者の方々に伝えるべきかを議論するなどして、解像度が上がっていったと思います。
永見:最初から成果が出るより、尻上がりに成果が出てきたことがいいですね。一定のマッチング期間を経てちゃんとすり合ったということなので。最近は社内から「フォースタートアップスさんが紹介してくれる人のヒット率がメチャクチャ高すぎて、予算を越えて採用しそうになりますよ」みたいなことも聞こえてきます。
山下:それは嬉しいです。
――フォースタートアップスが「社運を賭けてでも」とまで思ったラクスルさんの魅力とは何でしょう。
恒田:シンプルにスタートアップより急成長している会社です。4年ほど前に200億円くらいだった売上が、直近で500億円を超え、翌年で600億円。数年間で400億円の売上をつくるとはスタートアップよりも成長率が高く、規模も大きいです。トップが永見さんになられて、方向性も「End-to-endで中小企業の経営課題を解決するテクノロジープラットフォーム」に変わり、M&Aも加速して。このPMIも20人規模で入り込んでしっかりやられてます。
永見:はい。PMIもしっかりと行っています。
恒田:ここまでしっかり経営改革をしに行くというのはとても珍しいと思います。M&Aは単に売上をくっつけることではなく、ラクスルというテクノロジー集団、ビジネス集団が入り込むことで生産性をものすごく上げにいっているのです。その姿勢も魅力的ですが、それによってポジションも生まれて来るわけです。よく、スタートアップは急成長でポジションがたくさんあると言われますが、ラクスルさんはスピード感、ポジションでスタートアップよりもスタートアップらしい。本当に今、おもしろいフェーズにあります。
永見:ありがとうございます。私からも魅力をアピールしていいですか。
箇条書きのように挙げると、一つは多様なタレントのマネジメント陣がいること。二つ目は、方針が変わってきている今、ビジネス側もエンジニア側もこのタイミングで入るとおもしろいということ。三つ目は、確実にテクノロジー投資をしていくこと。エンジニアのなかには会社の方針変更でテック投資ができなくなり、もどかしい思いをした経験を持つ方々もいると思います。ラクスルは利益が出ていて基本は拡大していく会社であり、継続的なテクノロジー投資、R&D投資への期待に対してはしっかりコミットしていきます。
人によっては、M&Aを進めると各社のCTOポジション、CEOやCFOポジションが必要になるので、マネジメント機会がたくさんあることに魅力を感じるかもしれませんね。
水島:ポジションはかなり魅力だと思いますよ。ラクスル自体もエンジニアのマネージャーの枯渇が慢性的に続いていますし、しかもM&AもしているとミニCTO的ポジションもすごく空いています。これまでも、他社さんではその機会がなかなか叶えられなかった人が入ってうまくマッチしてきました。
ほかのエージェントさんだともう少し下のプレーヤー層のエンジニアが多いのですが、フォースタートアップスさんからはまさにダイレクター層、転職市場に「本当にこの世に実在するの?」と怪しんでしまうくらいのレアなレイヤーの方たちがたくさん来てくれて、ピタっとはまった感じがありました。
解像度が高く、社内のタレントアクイジションチームのようだったフォースタートアップス
▲フォースタートアップス株式会社 シニアヒューマンキャピタリスト 山下 太地
――改めてフォースタートアップスと手を組んでよかったと思う点をお聞かせください。
永見:テクノロジー、プロダクトのミドルからシニアのレイヤーが、我々の期待以上に人材が集まりました。これは何か、フォースタさんはこの1年で動き方を変えたのでしょうか。
恒田:大きく変えたのはコロナのタイミングです。どこの会社も採用を休止して、仕事が本当になくなってしまいました。そのときに、どんなにフィーが高くてもほしいと思う、企業側が本気を出すポジションに絞ってコミットしようと考えました。ヒアリングに回ったところ、みなさんからエンジニアがほしいと言いました。
そこでエンジニア専門のチームを立ち上げ、エンジニアと対等に会話ができるヒューマンキャピタリストを育成することにしました。山下が今、そのエンジニア専門チームを率いています。最初は数名からスタートして、今では20~30人、エンジニアと対話ができる人材をそろえています。
水島:なるほど。私が感じているのはラクスルとカルチャーが近いこと。ラクスルはコミットするところはコミットし、やりきることが強みの会社だと思いますが、フォースタートアップスさんも同じです。決めた目標人数を必ず達成するところがすごい。今回のプロジェクトもそうでした。ちょっと震えるほどのコミットぶりで、そのカルチャーフィットは、本当に同じ会社のタレントアクイジションチームとして動いていただいている感覚です。
そのうえで、「勉強させてください」と言って我々をどんどんオフィスに呼び、ラクスルのことを内部まで深くラーニングした状態で動いていただける。そこはやはり、いちばんの強みではないかと思います。Slack上でのコミュニケーションも、業務委託先の会社とやっている感覚はまったくありません。最後まであきらめないし、数字が悪いときはお互いを奮い立たせるようなやり方をしていただきました。これは採用に限らず、あらゆるプロジェクトで大事な点だと思います。
永見:補足ですが、その深いコミットメントや理解は、前提として想いへの共感が強くあるからだろうと感じています。ジョブディスクリプションと照らし合わせてとりあえず人を紹介するという表層的な関わりではなく、我々の想いに共感してもらっていることが大きいのではないでしょうか。おかげで、フォースタートアップスさんには、CEOにとっての信頼できるパートナーという感覚を持つことができています。
山下:我々もそこは本当に大事にしています。単なる人材紹介だったら求人要件だけのやりとりになりますが、私たちはそうではない。目指す世界から始まって、そこに対するロードマップとして必要な人材、永見さんや水島さんが抱いている課題感を理解することが、ヒューマンキャピタリストに必要だと考えています。私も最初はIR資料を読み込み、インタビューや動画をひたすら見て、ラクスルさんの想いや描く世界の理解に注力したので、そう言っていただいけるとすごく嬉しいです。
永見:実際、改めて振り返るとマネージャー、部長レイヤーから執行役員クラスまでをかなりご支援いただきましたよね。
水島:はい。入社半年以内でプロダクトを出して社長賞を獲った人もいますし、それくらいのスピード感、即戦力性のある人たちが入ってきてくれています。『ラクスル』に続いて立ち上げた事業群の一つでナンバーツーのポジションにある人もいますし、数ある部門でいちばんの人数を抱えているところのVPoEを務めている人も。みなさん大活躍です。一人一人の活躍はもちろん、会社全体としても要所要所にハイレイヤーの人たちに入ってもらい、組織としてきっちりグリップできていることによる成果が出てきているところです。先は明るいです。
永見:「人」を探すというのは非常に重要で、特にテックにおいてこの1年強の歩みは、我々としては非常にエポックメイキングだったと思います。私は「人」がいちばんの成長のエンジンだと思っているので、フォースタートアップスさんはエンジンをともにつくってくれたパートナーです。
ラクスルは新たなフェーズへ。手を取り合って歩む1兆円企業への道
▲ラクスル株式会社 上級執行役員 グループCPO 水島 壮太 氏
――今後の展望、フォースタートアップスへの期待などを教えてください。
永見:冒頭で言った通り、これまでとは少し方向性を変え、今までの強みを生かす形でより「End-to-end」で中小企業に多層的にサービスを提供するテクノロジープラットフォーマーになっていきます。金融プラットフォーム事業など今までとは違う事業展開もするので、異なるケイパビリティが必要になるタイミングです。求める要件もタレントも変わってくるので、これからも都度、フォースタさんに相談して一緒に仲間探しができるといいなと思っています。
フォースタさんは、言ってみれば我々のトランスフォーメーションのパートナー。この一年、フォースタさんの存在は非常に心強かったです。実績はもちろんですが、何と言うか、CEOのメンタルの中にある程度入り込んでいることが大事だと思っています。今回のプロジェクトは、特にテック採用は私にとって非常に重要なアジェンダだったので、大変満足しているし、頼もしかったし、CEOのパートナーだったと実感しています。
――プロジェクトを始めたときのシニア層がいない問題は解決しましたか。
水島:はい。兼任だらけ、空席だらけだった席は埋まりましたし、きっちり組織ビルディングができてきたという声は現場からも聞こえてきます。なので、最初に設定した課題はクリアしているのですが、大事なのは組織づくりは「How」だということ。ここからさらにいろいろなことをやっていきますし、M&Aも進めるとなると人はまだ足りません。子会社のCTOは一体何人必要だろうかと思い、一度経営陣で組織図を書いてみましたが、まったく必要な人数に到達していません。今の勢いを継続して採用をやっていかないと我々の目指す突き抜けた時価総額の会社を支えられる開発組織はつくれません。
フォースタートアップスさんにとっては人材のプールを枯渇させないように、いかに売り手市場の日本のエンジニアのマーケットを活性化させられるかというミッション、チャレンジになるのではないかと思います。強い企業が生まれ、そこで育成された強いエンジニアが転職市場に出てくるというサイクルができればいいのですが、アメリカと比べると日本はまだそこが弱いです。といってもラクスルから飛び出されるのは困るのですが、より大きな視点に立ってエンジニアのハイレイヤー市場自体を温めていく施策は大事かもしれませんね。
事業進捗しているときのラクスルは生き物なので、都度都度の採用課題に併走していただけると嬉しいです。さらにもう一段上の視点で、我々の採用ブランディングや、採用のやり方も含めて変わっていかないといけないと思うので、そのあたりもいろいろと提案をいただいたり、その時々で相談できるパートナーでいてくれると現場も助かります。
恒田:山下はどうでしたか。いいところはありましたか(笑)
水島:グイグイくるところですかね(笑)。我々も本気でやっているのですが、正直に言うとダレがちなタイミングもある中、常にビシバシとやっていただけるのはとてもありがたかったです。
――ラクスル様 × フォースタートアップスの挑戦は続きますね。
永見:はい。去年の8月にフォースタートアップスさんに社長就任のお祝いをしてもらいました。その場で私が言ったのは、スタートアップが盛り上がり始めた2012年~2013年頃から約10年が経ち、エコシステムはかなりできてきました。でも日本にとって大事なことは、小さいスタートアップの数を増やすことではなく、本当に突き抜けてメチャクチャ大きくなるスタートアップを何社つくれるか。時価総額1兆円までいくスタートアップを何社つくれるかだ、ということ。そこに課題は移ってきています。それが日本の社会を変えていくからです。
我々は社会を変えられる。そこに至れる会社だと信じているし、実現できる立ち位置もあると自負しているので、実際に目指そうとしています。フォースタさんはこのような我々の想いに共感し、同じ想いで支援してくれていると思うので歯車がかみ合ったのかなと感じています。
恒田:その通りです。まさにそれは我々も常々言っていることです。
永見:種をまくという意味でもちろん未上場のスタートアップも大事ですが、そこから巨大な会社がどれだけできるか。私は、社会にインパクトを与えられるスタートアップコミュニティーをつくることは、次の10年の課題だと思っています。そこをフォースタートアップスさんがどうリードしていけるか。といったところで我々の想いとつながっています。
恒田:本当におっしゃる通りです。スタートアップの数が増え、上場する会社も増えて、それはそれでよかった10年ですが、次の10年は世界から見て存在感のある会社、意義のある会社をいかにつくれるか。数字で言うとTOPIX500に入るような時価総額の会社。目安としては5,000億円くらいですが、1兆円に達したら本当に日本のトップ企業です。その一つにラクスルさんを押し上げたいし、そこに私たちの課題解決能力がついていけるように成長したいと思っています。
山下:水島さんもおっしゃった通り、今回のプロジェクトはあくまでもスタート。目指す世界観を1兆円企業と考えるとまだまだ力不足ですし、ここから我々自身もさらに大きくならないといけません。先ほど永見さんがおっしゃったブレインシェアをどう取っていくかという観点では、ヒューマンキャピタリストとしても、ラクスルの経営課題なども含めてもっと自分の中で解像度高く、自分だったらどうするかとか当事者意識を持って考える必要があると思っています。私たちとしても、経営幹部人材の支援など1兆円企業を目指すためのご支援をもっともっと頑張らないといけません。
永見:こちらからの期待を言うと、未来の組織図を一緒につくってほしいです。必要なポジションや具体的なジョブディスクプリクションについての相談はいつもしていますが、やはりフォースタさんはいろいろなビジネスモデルやフェーズの会社をご覧になっているので、その視点で、「ラクスルって実は半年後・1年後にこんな組織図、こんなポジションが必要じゃないですか」と言えると思うのです。そこには我々が見えていない景色があるはずなので、1兆円企業への道のりを一緒につくるうえでそのあたりを先回りして提案してくれるととてもバリューがあると思います。
――最後にラクスル様の求める人材像や、御社を目指す方に向けてメッセージをお願いします。
永見:やはり、「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンへの共感が大前提となります。スキルが高いことはもちろん重要ですが、この船に乗りたいと思ってくれる人にこそ参画いただきたい。企業としてその文化は大事にしたいと思っています。
水島:今後、ラクスルがどう進化、成長したとしてもビジョンへの共感を重視することは絶対に変わりません。ラクスルは、とにかく自分の技術力で世界を変えてやるんだと信じているメンバーがゴロゴロいる会社であり、これから入る人もそうでしょう。そこを外して採用すると、言い方がよくないかもしれませんが、ただの開発部隊になってしまいます。とにかくどんな領域でもいいから自分の技術力で変えてやるという気概のある人たちを、絶対にブラさずに採りたいと思っています。ラクスルの根本はそこにあります。
――こんなにダイレクトに世の中を変えられる会社はほかにないかもしれません。楽しみですね。今日はありがとうございました。
(取材・文:山田 雅子 写真:塩川 雄也)