社内カンパニーを経て、2016年9月に創業したフォースタートアップス株式会社。これまでスタートアップ各社に200人を超えるCXOをはじめあまたの人材を紹介することで、日本の再成長を担う成長産業を支援してきました。入社後、キーマンとなった彼らが活躍し、爆発的な成長を成し遂げたチームは少なくありません。
今回、紹介するのはその一つ、スキマバイトサービス『タイミー』を提供する株式会社タイミーです。「一人ひとりの時間を豊かに」をビジョンに、『タイミー』が、「働く」ことを通じて人生の可能性を広げるインフラになることを目指します。2022年11月現在、『タイミー』は350万人超のワーカーと約3万3000事業者を結んでおり、インフラとして着実に根付きつつあります。
今後は働く機会の提供から、より豊かな時間の提供へとさらにサービスを進化させていきます。創業者で代表取締役の小川嶺氏、創業メンバーの1人である執行役員CTOの亀田彗氏と、弊社ヒューマンキャピタリストの森心之介、大戸宏子の4人が、これまでの歩みとこれからについて語ります。
フォースタ経由でキーマン採用。目標までの時間を一気に短縮できた。両社のタッグがスタート
—— 両社の出会いと支援が始まった経緯などを教えてください。
森:最初は「ボードゲームやりましょう」とか、そんなゆるい感じでしたね。2019年頃です。
小川:当時は、エージェントに苦手意識を持っていました。ハイレイヤーになるほど、1人につき何百万円となる。3年前は、資金調達も3億円程度だったので、たとえば300万円だと1%です。その金額は払いづらかったですね。
認識が変わったのは、CFOなどのハイレイヤーをフォースタさん経由で採用したとき。時間をすごく短縮できたと感じました。歩まなくてはいけない道が短縮された感覚です。スタートアップはそもそも時間が限られています。非常に選択と集中が求められるなかで、このお金の使い方は至って合理性のあるものだとわかったことが、転換点でした。感情ではなく、一定のフィーを払うに値する効果があったからです。
森:付加価値をどのように提供できるかには非常にこだわりました。最初の象徴的な支援は、2020年12月にご入社された八木さん(取締役CFOの八木智昭氏)だと思います。
亀田:そう思います。八木は本当にしっかり会社経営をしてくれて、尊敬しています。
大戸:八木さんは、「CFOが欲しいな」というカジュアルな会話をきっかけにお引き合わせしました。
森:しかも一度、募集をストップしていますよね。
小川:はい。30人、40人と会ったのですが、見つからなかったからです。で、やめようと思っていたタイミングで出会えました。
—— 八木さんなら任せられると感じたのは、なぜですか。
小川:八木はファイナンスのスペシャリストなので、数字にはもちろん強いのですが、何より『タイミー』というサービスを信じ、好きなことが伝わりました。しかも前職では、営業支援業務などの経験もあり、その柔軟性も信頼できました。経営は、その時々でテーマが変わってくるので、何者にもなれることが大事です。「このドメインしかやりません」といった変化できないスペシャリストは、この規模、フェーズでは難しい。
当時のタイミングにおいて、八木は本当にキーマンだったと思います。真面目なタイプで、いい意味で、自分の自由な発想と八木の真面目な考えが重なって、より案がシャープになるという点でも、非常にいいパートナーだと思っています。
—— フォースタとの取り組みの前は、どのような採用活動をされていたのですか。
小川:リファラルも多かったですし、広報に力を入れていたので、『Wantedly』経由でもかなり応募をいただきました。100人規模までは、そのような感じでした。ただ、やはり事業スピードが速いなかで、さらに加速していくにはマネジメント経験者が必要です。となると、たまたまの出会いに頼るのではなく、狙って採用していくべきだと考えるようになりました。
亀田:たとえば、フォースタさんにご支援いただいたカスタマーサポート責任者は、まさにそうです。リファラルでは採れないし、伝手もない。出会えたのはフォースタさんのお陰です。ほかにも支援いただいたキーマンは多岐にわたります。
小川:ご提案いただくことも多いですね。カスタマーサポートもそうだし、事業統括の金(執行役員 事業統括の金高恩氏)もそう。オープンポジションのようにご紹介いただいて、「ああ、そういうポジションもあるな」と、こちらも気づけたことは大きかったです。
金のポジションは考えていなかったのですが、彼女が入ってくれて、会社が元気になりました。「何で、これをやるのか」より、まず「ポジティブにやっていこう」というスタンスで、その巻き込み力、パワフルさはすごい。経営会議も元気になって、非常に大きなバリューを発揮してくれています。
事業と戦略を理解したうえで適切な提案ができる。累計65名、社員の5分の1がフォースタ経由
亀田:採用要件が曖昧なまま話をして、意を汲んでくれる能力も、フォースタさんが圧倒的ですね。
大戸:ありがとうございます。事業を理解すると、これを推進するには何が課題かと考えるので、それがご推薦につながっています。
カスタマーサポート責任者は、フォースタの社内のメンバーが自発的に提案してきました。その少し前に、小川さんが全社向けの勉強会をしてくれて、そこでみんながファンになり、「タイミーさんを支援したい」、「誰かいい人いないかな」というマインドセットになったことが背景にありました。タイミーさんについては、普段からこのように社内メンバーから積極的な提案をもらうことが多いです。
森:採用要件の理解に留まるのではなく、事業戦略や成長戦略の部分で、かなり情報を開示してもらって、タッグを組めているからでしょうね。
亀田:ポジション指定でご支援いただいた人たちも、活躍してくれています。たとえばVPoEの担当者。昨今はエンジニア採用がすごく難しくなっていますが、彼のおかげで採用が進み、組織化もされてきました。もし彼がいなかったら、体制づくりができず、20名程度の開発組織で止まっていたと思います。人事的な不和も起きていたかもしれません。実際、当時は組織化の難しさを感じていたところだったので、本当に助かりました。
森:プロジェクトが始まって早い段階でご要望をいただいて、2、3カ月後には決定できましたね。
亀田:あのときは、「CTOかCPOかVPoEが欲しいです。いい人紹介してください」と、だいぶ困っている状態でオーダーしました。要は僕が職責を持ちすぎている状態から、脱却したかったのです。スタートアップにありがちなことで、最初は兼業できた職責が、スケールしていくなかで回らなくなってしまいます。1年後、2年後にその仕事を渡せる、信頼できる人を採用することはとても大事で、結果としてとてもいい出会いをいただきました。
—— 短期間で、難しいポジションの方をよく採用できましたね。
亀田:オールスクラムで頑張った感じです。フォースタさんには、よかった点や少しズレている点などを細かくフィードバックして、そこで軌道修正していただくなど、やりとりはかなり多かったです。
大戸:適切なフィードバックをもらえるので、我々もご推薦すればするほど、ペルソナの解像度が上がっていきます。それは、タイミーさんと採用を一緒にやるなかで、いつも感じていることです。
—— 課題自体も、刻々と変わっていきますよね。
亀田:もちろんです。本来は、課題が変わるごとに採用要件を書き起こすので、リードタイムが生じます。フォースタさんにはそれが必要なく、リードタイムゼロでつながっているので、半年、数カ月という単位で前倒して進められていると思います。
小川:フォースタさんからは、メンバーとして入った人もたくさんいて、みんな活躍しています。会社は2年〜3年で終わるわけではないので、ハイレイヤーだけでなく、未来のタイミーをつくる人を支援してもらうことも大事です。
数で言うと、トータルで65人(2022年11月初旬現在)、フォースタさん経由で入社しています。社員が全部で300人強なので、5分の1ほど。そう考えるとすごいですね。フォースタさんがいなかったら、ここまで速いスピードでは成長できなかったと思います。
ウチは、日本でもトップレベルの中途採用をしていこうとしているので、さまざまなチャネルを活用しています。もちろん、ほかのエージェントも使っていますが、エージェントの中の割合でいうと、半分程を占めているフォースタさんはダントツですし、いちばん信頼もしています。
—— 他社さんとの違いはありますか。
小川:いい意味でしつこいですよね(笑)。粘り強いです。
一同:爆笑
小川:フォースタさん向けの勉強会もずっと誘っていただいて。オンラインならともかくリアルで、しかも池袋から六本木は遠いのですが、フォースタさんならいいかなと。それは情ではなく、「来てもらうことで、そちらにもこんなメリットがありますよ」と提示してくれるので、行ったほうがいいという判断になるのです。
同様のメリットはほかのエージェントさんでもあるのですが、いくつか違うポイントがあります。一つは、いい意味でのしつこさからくる信頼感。「これは、タイミーさんとしてもやったほうがいいです」「この人は絶対に会ったほうがいいです」と言い続けてくれます。ブレない軸があるところがいい。逆に、一度断った程度で引き下がるようだと、「だったら提案してこなければいいのに」と思ってしまうでしょう。
で、実際に行くと、熱量の高いメンバーが非常に多い。「タイミーさん、この人どうですか」とその場で言ってくれたり。とても素直でいい人がいっぱい集まっていて、ウチのカルチャーにも近い感じがします。
同じ山を登る熱量が高い両社。定期的な勉強会で課題をアップデート
—— フォースタサイドの話もお願いします。タイミーさんのどのようなところが素晴らしいと思い、今のような支援体制ができたのでしょうか。
森:小川さんに対しては、ピッチイベントでお見かけしたことをきっかけに、学生起業家でありながら、次々と事業をされているところに個人的な興味を持っていました。
その後、2020年10月にタイミーさんの担当を引き継ぎ、改めてタイミーさんのビジネスに向き合うと、「日本の課題を解決する」という点にとても共感しました。少子高齢化が進み、労働人口が減る日本において、今あるリソースを再配置することで、価値を生み出す。それは、フォースタがやりたいことと重なり、少し違う登り方をしているけれど同じ山を登っているのだと、非常に共感したのです。
その後、コミュニケーションをとるようになり、ますます、小川さんに対しても『タイミー』という事業に対しても引き込まれました。とてもリスペクトできる経営者だと思っています。意思決定が早くて鋭い。ロジカルでありながら、人を巻き込む能力に長けた経営者だと感じます。
大戸:小川さんは人を魅了する力のある方だと思います。会う人は必ずと言っていいほど「小川さんが素敵」と言うのです。私個人としても、小川さんの魅力、皆さんの熱量の高さを感じています。
フォースタでの勉強会は、これまでに5回やってもらって、そのたびにアップデートがあります。毎回更新されていく戦略や方針の共有のおかげで、同じ会社の一員かのような気持ちにさせてくれる。この一体感はタイミーさんの努力でもあるし、特徴だと思います。
小川:5回も勉強会に行っているのはフォースタさんだけですよ。そもそも、スタートアップ業界に少しでも興味を持ってる人のほとんどが、アクセスする立ち位置にある点が素晴らしいと思います。だからこちらも、困ったことがあると頼るし、必ず何人か紹介してくれるので、非常に信頼を置いています。
「働く」を楽しく、一人ひとりの時間を豊かにするために広がる事業
—— 今後の事業展望、フォースタに期待することなどをお願いします。
小川:タイミーは、スキマバイトサービスという、すぐ働けてすぐお金をもらえる仕組みで、約350万人のワーカーさんと約33.000社の企業さんをマッチングしています。これはベースとしてしっかり推進していきますが、一方で、当社のビジョンは「一人ひとりの時間を豊かに」、ミッションは「『働く』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」です。働く方々の時間をどう豊かにするか。スキマバイトサービスという土台があるうえで、これらの実現も、さらにチャレンジしていきたいと考えています。
たとえばワーカーさんの福利厚生を充実させるには、福利厚生の知見のある人が入れば、よりスムーズに進むかもしれませんし、海外展開やフィンテック事業などに取り組むにしても、スペシャリストがいれば実現までの時間軸が縮まるかもしれません。フォースタさんとは、このような事業戦略、構想があるという話を1年先、2年先を見据えて話し、今よりももっと戦略に踏み込んだご提案をしていただけると嬉しいです。そうすると事業戦略と人事戦略が噛み合った形で、スピード感を持って事業成長できると思っています。
森:ありがとうございます。これまで通り、粛々と小川さんとタイミーさんがやりたいこと、実現したい世界観を共有してもらいながら、その未来をできるだけ早くたぐり寄せるためのサポートを続けていきます。先手を打って「このような人はどうですか」と提案することもあれば、顕在化している事業課題を解決できる、優秀な方をご紹介することも、今まで以上に注力していきます。
先ほど、全体の5分の1のメンバーがフォースタ経由というお話がありました。ということは、半ば一緒の船に乗っているようなもの。我々も船員として一緒にチームづくりをしていると、勝手に思っています。『タイミー』が日本のインフラになる、その未来を一緒につくりたいと思います。
小川:ミッションの「『働く』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」を実現するには、まず社内のメンバーの可能性を広げていく必要があります。社内の5分の1のメンバーは、「世の中のためになるスタートアップで働きたい」という思いでフォースタさんに来て、そこでタイミーをご紹介いただき、縁あってご入社いただきました。私には、その人たちが「入ってよかった」と思い、フォースタさんにもそう言ってくれるようなフィードバックサイクルをつくっていく責任があります。そしてほかの5分の4のメンバーも含めた全員が社内で体現し、社外に発信していくことにつなげていきたいと考えています
—— 開発面のお話もお聞かせください。
亀田:一つの節目として目指しているのは、100人態勢で開発できる組織。そこで大事なことは、いかに組織として動ける状況をつくるかです。いくら優秀な技術者がいても、組織化していく役割の人がいないと組織は回りませんし、持続的な開発もできません。フォースタさんからはこれまでに、エンジニアリングマネージャー、スクラムマスターなど組織化する役割の人を厚く紹介していただきました。今後も、社会インフラを実現するに足る技術組織をつくりあげるべく、一緒に組織化に取り組んでいきたいと思っています。
さらなる拡大へ。将来はGoogle社のような働き方を目指す
—— 改めて採用ポリシーをお聞かせください。
小川:ミスマッチのない採用をすることが、非常に重要だと思っています。働くことは人生の中で大きなウェイトを占めているので、ミスマッチはお互いにとって不幸。なるべくしっかりといろいろなに人に会ってもらうことと、対面での面接を大事にしています。ご希望によって途中はオンラインになるかもしれませんが、最終は対面で会い、カルチャーフィットを見て、オフィスのご案内まで含めてお互いが判断するようにしています。そこは、今後もこだわりたいポイントです。
森:近いうちにもっと大きな組織になったとして、それでもなお、全社員の1/5がフォースタ経由だといいですね。
小川:はい。たくさんの支援を期待しています
森:人数ももちろんそうですが、事業を前に進めるにあたって、経営層やマネジメントレイヤーの採用支援についても、引き続き注力していきたいですね。累計何人、全体の何%という数字の目標だけではなく、描く未来を、より早く実現することに向かって、肩を組んでいきたいと思っています。多くのスタートアップにとって、上場や時価総額いくら、といったわかりやすい指標はありますが、タイミーさんの目指す世界観は、そのようなものではありません。目指すのは、この先ずっと続き、大きくなり続けるインフラです。一緒に社会の変革を進めていきたいと思います。
ところで、拡大を続けて5年後、10年後に「こうなっていたい」と目標にしている会社はありますか。
小川:そのスパンなら、やはりGoogleでしょうね。Googleは、シリコンバレーの一角に本社を構え、数十万人の従業員もそこに住んでいます。元はそれほど栄えていなかった街が、「Googleタウン」化しています。街が一つ出来上がってしまうとは、こんな素敵な話はありません。それくらいを目指したいです。
タイミーもいつか、東京ではないどこかにみんなで移転して、その街を活性化できたらいいですよね。「働く」を楽しくすることがウチのテーマなので、もっと自由に、伸び伸びした環境で働くことを追求していく会社でありたいです。
大戸:素敵です。フォースタで小川さんは「チャレンジャー」として、とても人気があります。私個人としても、同世代で起業家として活躍している小川さん及びタイミーさんを応援したい、という気持ちが強いです。どうぞこれからもよろしくお願いします。
小川、亀田:ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。